3.起業後にやること

営業の準備を行い、実際に営業を開始します。また事業を継続させていくための仕組みやアクションを行います。

(1)準備

3-1 商品を作る

 

販売する商品を作ります。

 

有形物であれ無形物であれ、誰に・何を・どのように売っていくのかの構想が固まってくれば、商品のラインナップも決まってくるはずです。

 

それぞれの商品の特徴やセールスポイントを整理しておきます。

 

3-2 値段を決める

 

その商品を、いくらで売りますか。

 

値段の付け方は、①市場の相場から売価を決める方法と、②自社のコストに利益を上乗せして売価を決める方法があります。

 

いずれの方法をとるにしても、顧客が「欲しい」「買おう」「頼みたい」と思ってくれる値段にしなくてはなりません。

 

3-3 WEBページをつくる

 

商品や事業を紹介するWEBページを作ります。

 

最近は無料で自分で手軽に作ることができますから、ぜひ活用したいです。

 

WEBページは名刺代わりに使ったり販促や実販売のツールになったりと、目的によって使い分けることができます。

 

もちろんWEBページ制作を専門業者に依頼するのも良いでしょう(10万~30万位が相場)。

 

ただし、制作業者が自分のビジネスに精通しているとは限りませんので、原稿は自分で用意するようにします。

 

3-4 営業ツールを作る

 

名刺やパンフレットを用意します。商品カタログのようなものも作っておきます。

 

新しいビジネスモデルの場合は、事業説明用の分かりやすい資料を用意します。

 

また、PRの際の文言や言い回し、説明の仕方などについて、自分なりの「型」を準備します。

 

見積書や請求書のひな形も用意します。

 

その他、電話がかかってきた時の対応や問い合わせの対応、問合せから受注までの業務フロー、想定されるトラブルと対応などについて、簡単なマニュアルを用意しておくとよいでしょう。

 

事前に整理しておけば、突発的な問い合わせにも落ち着いて対応できます。

 

 

コラム⑩ 営業ツールにお金をかけるべきか?

 

 名刺やパンフレットは自分で作れば安価に仕上がります。ただ印刷会社やデザイナーに依頼したほうが、見栄えの良いものが出来上がります。広告費と売上高が比例するような業種や個人の信用が重視されるような業態では、名刺やパンフレットにお金をかけたほうが良いと思われます。

 ただ、起業初期は急きょ引っ越したり、事業内容を変更したり、商品ラインナップを訂正したりなどの変更が生じやすいものです。そのたびに高額で発注した名刺やパンフレットが使えなくなる…ということも。ゆえに最小単位で発注したり、高額なものと安価なものを使い分けたり、あるいは紙媒体ではなくタブレット端末を効果的に活用するなどの工夫が必要です。

 

 

3-5 契約書を用意する

 

規約や契約上の取り決めを記した契約書を用意します。

 

取引後のトラブルを防止するための文言を織り込みます。

 

一般に流通している見本等をもとに、自社の業態にあわせて修正を加え、基本となるひな形を作ります。

 

実際に契約が取れそうな時点で、ひな形を個々の取引内容に合わせて修正します。

 

 

コラム⑪ トラブルが起きやすい業種は、契約書の文言を詰める

 

 契約書や規約は取引後のトラブルを防止する目的をもっています。代金の支払い時期や条件、業務上の責任、解約や損害賠償の規定などを織り込みます。これまでの経験をもとに独立される方は、通常その業種でのトラブル事例や防止策などをよく知っており、同業種の契約書を度々見てきている場合が多いので、契約書の文言を自分で決めることもできます。ただし、トラブルの起きやすい業態や金額の大きい取引については、リスク管理として契約書や規約を作る際に法律家に相談した方が安全です。

 

 

3-6 営業リストをつくる

 

営業に行く前に、どこに営業に行くかを決めなくてはなりません。

 

事前に「誰に、何を、どのように」売るのかを計画しているはずですので、これに基づいて見込み客リストを作ります。

 

そして見込み客ごとに、どのようなアプローチで会うのかを決めていきます。

 

突然訪問するよりは、何らかの接点を探して徐々に関係を深めていくべきです。

 

行き当たりばったりのアプローチではなかなか成果が出ませんし、たいへん効率が悪いです。

 

 

コラム⑫ 起業前にできるだけお客さんを作っておきたい

 

 起業前に多方面に打診し、起業前に見込み客を作っておくのが理想です。起業初年度は売り上げが安定しないので、まずは確実に収入が見込める相手を確保しておくのです。

 たとえば会社勤め中に自ら築いた取引先などの各方面にアプローチし、顧客のあてができてから起業に踏み切るという方もいます(勤め先の就業規則等に違反しないように注意しましょう)。あるいは会社勤務時の取引先が独立後の顧客になってくれるというので、独立に踏みきったという方もいます。

 ただし、こうした収入源があくまで見込みである場合には、見込みをあてにしすぎないように注意すべきです。会社勤務時代の口約束だけでは単に社交辞令にすぎないかもしれず、実際に起業してからあいさつに行くとあっさり断られた、という例もあります。これはあくまで勤務先のお客さんだったというわけですから、仕方ありません。やはり「お客さんは自分でつくる」というのが事業の大原則です。

 

 

(2)実行

3-7 営業に行く

 

商品と営業ツール、営業リストがそろったところで、実際に営業に行ってみましょう。

 

WEBサイトへの問い合わせのみでやっていくという方もいますが、実際の対面営業とWEBサイトへの問い合わせを組み合わせて用いたほうが、効果が大きいです。

 

たとえば名刺交換した相手にWEBサイトを見てもらい、問題意識を掘り起こして問い合わせにつなげ、関係を構築していく、というように。

 

対面営業の目的はいきなりモノを買ってもらうことではなく、まずは顔を合わせて信頼関係を築くためのきっかけをつくることです。

 

顔も見たことのない相手よりは、一度顔を合わせて会話した相手の方が、問い合わせしやすいものです。

 

問い合わせを獲得したら、先を急がずにまずは信頼関係の構築に努めること。

 

納得感を得ないうちは相手は買ってくれません。

 

相手の疑問や不安に根気よく付き合い、これらを取り除いていきます。

 

 

コラム⑬ WEB営業だけで信頼関係を築くことは可能か

 

 動画やメルマガなどを効果的に活用し、WEB営業だけで信頼関係を築いていく人もいます。たとえばあなたが商品を説明する動画を配信すれば、表情やしぐさを通して、実際に会って話したのに近い効果が得られます。定期的に配信することで本人を身近に感じ、信頼感が生まれてくるということもあります。親近感を得るという点では、メルマガ等で人となりや考え方、商品の利点等を定期的に伝えていくことも同様の効果が期待できます。WEB上で意見交換したり、情報交流の機会を提供することも可能ですので、WEB販促は活用したいツールの一つです。

 一方で、対面営業の場合は個人と向き合い、じっくりと話を聞いて、その人のニーズに沿った提案ができるという大きな利点があります。親密度を高めるには、やはり直接会って話をするのが効果的です。そこでWEB上で問い合わせを獲得し、関係作りを進める中で、セミナーや交流会を通して対面営業の場を作っていく、というのも方法でしょう。

 WEB販促と対面営業はどちらか一つを選ぶという考え方ではなく、両者を組み合わせて、効果的に販促を進めて行くのが良い選択です。

 

 

3-8 広告を出す

 

起業したならば、自分の存在や事業をしていることを世間の人々に知ってもらわなくてはなりません。

 

ただ、自分の事業に関心を持ってくれるのはごく一部の領域の人々です。

 

関心を持ってくれる人々に情報が届くように、広告媒体を使って広告を出します。

 

それゆえ広告媒体がどのような人を対象にしているのか、十分に情報を集める必要があります。

 

起業当初は資金が不足気味ですから、高額の広告媒体に手を付けるのは難しいです。

 

WEB上の広告掲載サイトやフリーランス情報サイト、マッチングサイト等が比較的安価で手を付けやすいでしょう(無料も多いですが、効果や契約内容をよく検証する必要あり)。

 

商工会議所や地域の産業支援センター等の広告媒体も敷居が低く手を出しやすいといえます。

 

 

3-9 知り合いに会う

自分が起業したことを、知り合いに知らせます。

 

自分が事業をしていることや提供している商品を広く知ってもらうために、まずは身近な知人から始めるのです。

 

事業の内容を知らせておくことで、何か月かして、思いがけず仕事の紹介があった、という話もよく聞きます。

 

また、個人を相手にするような商品の場合、過去の勤務先の同僚や先輩後輩に知らせ、商品に関心を持ってもらうという手もあります。

 

ただ、友人知人に望まないセールスをかけたり無理な依頼をしたことで友好関係にひびが入ったという例もよくありますので、過度に期待しないように注意しましょう。

 

 

コラム⑭ 知人の紹介だけではビジネスは続かない

 

 友人知人の紹介だけで仕事をしているうちは、成功の道筋がなかなか見えてこないもので、紹介の仕事も単発で終わり長続きしないものです。そのうち紹介してもらうことを過度に期待するようになり、自ら顧客や市場を開拓していこうという気概や努力が知らず知らずのうちに薄れていくということもあります。

 起業当初は知人からの紹介で仕事を回す、というのも大切ですが、それだけに頼っていてはビジネスは長続きしません。受注までの成功の道筋を自分で見つけ、成功プロセスを自分で築き上げることが大切。そうすることで受注を増やすコツをつかみ、事業を継続させていくことができるようになるのです。

 

 

3-10 交流会やイベントに参加する

 

交流会やイベントに参加して、知見や人脈を広げます。

 

私的な異業種交流会や名刺交換会、地域の産業振興センターや商工会が主催する交流会などいろいろなものが開催されています。

 

人と会い、話をすることで新たなニーズに気づいたり、コラボ企画が浮かんだり協力者が現れたり。

 

こうした交流会は、受注目的というよりはあくまで知見や人脈を広げる目的で参加すると、思いがけず良い成果を得ることがあります。

 

その他、展示会や見本市などのイベントに参加するのも手です。

 

出展者のブースを回り、展示品を見たり話を聞いたりしているうちに様々な気づきがあり、自分自身のビジネスの発展形が見えてくるようになります。

 

また、自分自身が展示会に出展するというのも良いでしょう。

 

年中を通して、全国でさまざまなテーマの展示会が開催されています。

 

出展ブースを間借りして、自社のサービスやベネフィットをPRします。

 

同じテーマに関心のある人があつまってくるので、効率のよいPRができます。

 

 

コラム⑮ 営業活動はストーリーで考える

 

 上記では営業活動として「WEBページを作る」「営業に行く」「広告を出す」「知り合いに会う」「交流会に行く」「イベントに参加する」という話を紹介しました。その他にもWEBツールとしてワード検索を使う、SEO対策を行う、リスティング広告を使う、FacebookやTwitterなどのSNSを使う、ブログやメルマガを活用する等の手段があります。

 これらの手段は、別々の広告として単体で考えるのではなく、受注までの一連の流れの中で個々の手段を関連づけていくようにします。ファーストコンタクトから受注や受注後の関係作りまでを含め、ストーリーを持ち、ストーリーに沿って個々のツールの役割や関連を決めていくのです。そうすることで個々の媒体の利点を生かすことができるとともに相乗効果が生まれてきます。また媒体の取捨選択基準ができるので、不必要な投資を避けることができます。

 

 

(3)アフター・アクション

3-11 内部管理のしくみをつくる

 

ある程度の受注を獲得し、収入を得るようになった場合には、利益管理の仕組みを整えるようにします。

 

いくら売り上げが上がったとしてもコストの管理ができていなければ、実入りは全く増えません。

 

そうした意味から、利益管理のしくみを作ることが大切です。

 

また、リスク管理の仕組みをつくることも大切です。

 

事業を進めて行くうちに、起こりうるトラブルや問い合わせが予測できるようになってきます。

 

こうしたトラブルや問い合わせを列挙・分類し、それぞれに対して予防策や対応ルールを定めた「ルールブック」のようなものを整備します。

 

こうすることで何か突発的な事件が起きた時に、すばやく落ち着いて対処することができます。

 

コラム⑯ 利益管理のしくみ

 

 利益管理のしくみは、活動ごとに売上と費用の対応関係に着目した「一覧表」などをつくって、定期的に集計することによって「どのような『活動』がどれくらいの『利益』につながるのか」を把握するものです。こうした情報をもとに活動の優先順位や投資の意思決定を行うことで、効果的・効率的な事業活動を行うことができます。

 自分でつくりづらい場合や、時間が取れないという場合はコンサルタントに依頼するのも手です。ただ「作っておしまい」ではなく、継続的に運用していくことが大切ですので、コンサルタントに疑問や意見を積極的にぶつけ、中身をよく理解しておくことが大切です。

 

 

3-12 ニーズを再点検する

 

実際に事業を始めてみると、思いがけないニーズの存在に気づいたり、準備していたことと違う依頼や問い合わせがくることが多いものです。

 

自分のスキルで対応できるものは、安易に断らずにできるかぎりやってみましょう。

 

新しいビジネスが生まれるかもしれませんし、自分の能力開発やスキルのブラッシュアップにもなります。

 

起業後活動をスタートさせ、何か月か経過した時点で、一度ニーズの再点検を行います。新たな気づきが必ずあるはずです。

 

再点検で気づいたことに基づいて、事業の進め方や商品ラインナップを見直してみることが大切です。

 

3-13 専門性を高める

 

フリーランスとして独立する場合は、自分自身のスキルが事業の源泉になっているわけですから、自分のスキルを磨き、高め続けることが大切です。

 

定期的に最新の情報に更新し、研修などを通して継続的にスキル磨きを続けるようにしなくてはなりません。

 

また、人と接し、話を聞き、意見を交わし、厳しい要求や批判にこたえていく中で、視野を広げ、自らの専門スキルをブラッシュアップしていくことができます。

 

 

一方で、新たなニーズに応えていけるように、応用力を磨いていくことが大切です。

 

応用力を磨くには、異業種の専門家と話をするのが効果的です。

 

ある分野で専門家と言われるほどの実力を持った人は、自らを高めていくための成功体験や教訓を持っています。

 

そうした人たちの成功体験を聞き、自らに取り入れていくことで、ビジネスの応用力が身に付いてくるものです。

 

3-14 次の手を打つ

 

ある程度の取引を成立させ、顧客を維持できるようになってきた。

 

仲間や人脈も広がり、情報交流に事欠かない。

 

しかしそうした状況で直面するのは、「このままでいいのかな…」という漠然とした不安です。

 

ビジネス環境は刻々と変化し、顧客のニーズも多様化していく。

 

ある事業で成功すれば、たいていすぐに競争相手が現れる。

 

こうした環境で事業を継続していくためには、二の矢、三の矢を考えていかなくてはなりません。

 

 

二の矢、三の矢を考えるうえでのポイントは、自身の「コア技術」を明確に認識したうえで、コア技術の応用先を考えていくことです。

 

あなたのコア技術は何ですか?

 

自分にしかできないことは何だろう?

 

コア技術を使って、どのような役立ちを提供できるのか?

 

自分のコア技術はどのような状況で支持され、活用されているのか?

 

自問自答と情報収集を繰り返し、次なるコア技術の役立ち先を探し求めていくのです。

 

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起業は事前の準備が大切です!でも準備ばかりに時間をかけて、決断しないのもよくありません。起業は「準備」と「決断」が成功のポイントです。

 

☆☆起業は準備と決断が肝要です☆☆